1次試験対策

企業経営理論で60点をとるために必要な中小企業診断士の勉強法

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企業経営理論は財務・会計と並んで中小企業診断士試験における最重要科目です。

中小企業診断士試験の「基礎」ともいえる科目で、1次試験はもちろん2次試験も、この科目を理解せず合格することは不可能です。

本記事では、中小企業診断士企業経営理論の合格点を獲得するために知っておくべき勉強法をご紹介していきます。

中小企業診断士の企業経営理論の難易度(レベル)

企業経営理論の難易度は

  • 難しい

経営戦略論から組織論、マーケティングと勉強範囲が広く、出題される問題のレベルも高いです。

国語の試験であり、設問や解答文の意図が読み取りずらい点が企業経営理論の難易度をさらに高めています。

企業経営理論科目設置の目的

科目設置の目的(出題者の真意)を知っておくことは、どの他科目おいても、基礎理解を促進させるために非常に重要です。

そこで、中小企業診断士の試験案内に記載されている企業経営理論の科目設置目的をみてみると、

企業経営において、資金面以外の経営に関する基本的な理論を習得することは、経営に関する現状分析及び問題解決、新たな事業への展開等に関する助言を行うにあたり、必要不可欠な知識である。また、近年、技術と経営の双方を理解し、高い技術力を経済的価値に転換する技術経営(MOT)の重要性が高まっており、こうした知識についても充分な理解が必要である。このため、経営戦略論、組織論、マーケティング論といった企業経営に関する知識について、以下の内容を中心に判定する。

引用:平成31年度中小企業診断士第1次試験案内

と書かれています。

大きく分けて、

  • 経営戦略論
  • 組織論
  • マーケティング論

の3つから企業経営理論は構成されていると分かります。

企業経営理論の問題数と配点

企業経営理論の問題数は40問前後。

設問ごとの配点は2~3点です。

試験時間は1時間30分あるため、解答時間は十分確保できます。

問題数は多く、1問あたりの配点は小さいので、多少の捨て問題をつくることはできます。
試験範囲が広いため、メリハリを付けた勉強が必要です。

企業経営理論の科目合格率推移

年度 合格率
平成30年度 7.1%
平成29年度 9.0%
平成28年度 29.6%
平成27年度 16.7%
平成26年度 13.4%

直近2年は科目合格率が10%を割り込み、難易度は非常に高くなっています。

それ以前も10%を割り込む年度は多くあり、平均では15%前後の合格率となっています。

中小企業診断士の1次試験合格率が20%であることを考えると企業経営理論の科目合格率難易度が高いと言えます。

中小企業診断士の企業経営理論の勉強範囲

企業経営理論は

  • 経営戦略論
  • 組織論
  • マーケティング論

の3つの分野から出題されます。

企業経営理論の出題範囲は広いですが、出題される問題のバリエーションはそれほど多くなく、攻略は可能です。
出題傾向は毎年同じです。

経営戦略論

経営戦略論は9つの分野から出題されます。

  1. 経営計画と経営管理
  2. 企業戦略
  3. 成長戦略
  4. 経営資源戦略
  5. 競争戦略
  6. 技術経営(MOT)
  7. 国際経営(グローバル戦略)
  8. 企業の社会的責任(CSR)
  9. その他経営戦略論に関する事項

なかでも合格点をとるために必ず押さえておくべき論点は5つです。

経営戦略論の頻出論点

経営戦略論で特におさえておくべきは、

  • ドメイン
  • PPM
  • 競争優位の戦略
  • 製品アーキテクチャ
  • 企業間連携

の5論点です。

企業経営理論のなかでも、経営戦略理論は過去問の類似問題がでやすい傾向にあるので、必ず得点したい分野となります。

組織論

組織論は経営戦略論より少なく、4つの分野から出題されます。

  1. 経営組織の形態と構造
  2. 経営組織の運営
  3. 人的資源管理
  4. その他組織論に関する事項

組織論は分野的には4つだけなので、経営戦略論よりも勉強範囲は狭いです。
しかし、1つ1つの論点が深いため、組織論の問題難易度は経営戦略論よりも高い傾向にあります。

組織論の頻出論点

  • モチベーション理論
  • リーダーシップ論
  • 組織文化と組織変革
  • 労働関連法規

労働関連法規は、社労士の人でも解けないような難易度の高い問題が出題される傾向にあるので、基礎的な知識を抑えて、分からなければ捨て問題と割り切った方が良いです。

マーケティング論

マーケティング論は企業経営理論のなかで一番多い10の分野から出題されます。

  1. マーケティングの基礎概念
  2. マーケティング計画と市場調査
  3. 消費者行動
  4. 製品計画
  5. 製品開発
  6. 価格計画
  7. 流通チャネルと物流
  8. プロモーション
  9. 応用マーケティング
  10. その他マーケティング論に関する事項

マーケティングの基礎概念は2次試験を解いていく上でも重要な分野です。

マーケティング論の頻出論点

  • マーケティングリサーチ
  • 消費者購買行動
  • ブランド
  • プロモーション

経営戦略論、組織論、マーティング論と出題範囲が3つもあるため、該当する論点は非常に幅広いです。

中小企業診断士の企業経営理論の勉強法

企業経営理論とは

  • 国語の試験

です。

国語の試験とはどういう意味なのか、まずは実際の過去問をながめてイメージしましょう。

中小企業診断士の企業経営理論で出題された過去問:平成30年度第1問

企業の多角化に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 外的な成長誘引は、企業を新たな事業へと参入させる外部環境の条件であるが、主要な既存事業の市場の需要低下という脅威は、新規事業への参入の誘引となりうる。

イ 企業の多角化による効果には、特定の事業の組み合わせで発生する相補効果と、各製品市場分野での需要変動や資源制約に対応し、費用の低下に結びつく相乗効果がある。

ウ 企業の本業や既存事業の市場が成熟・衰退期に入って何らかの新規事業を進める場合、非関連型の多角化は、本業や既存事業の技術が新規事業に適合すると判断した場合に行われる。

エ 事業拡大への誘引と障害は、企業の多角化の形態や将来の収益性の基盤にまで影響するが、非関連型の多角化では、既存事業の市場シェアが新規事業の市場シェアに大きく影響する。

オ 内的な成長誘引は、企業を多角化へと向かわせる企業内部の条件であり、既存事業の資源を最大限転用して相乗効果を期待したいという非関連型多角化に対する希求から生じることが多い。

出所:中小企業診断協会 

パッと見て何が書いてあるか理解できるでしょうか?

企業経営理論は言葉そのものや言い回しが非常に難解です。

この難解な言い回しを理解することが企業経営理論科目攻略の鍵となります。

そこで、企業経営理論科目を攻略するための具体的な勉強法を

  • 序盤
  • 中盤
  • 終盤

に分けて解説していきます。

序盤

まずはテキストを読み込み、理論を理解しましょう。とは言えこの段階で完璧に理解する必要はありません。

分野ごとに学習が終われば、問題集や過去問を解くことで、実践力を高めるのが最短合格につながる唯一の道です。

なぜなら、テキストだけ読み込むよりも問題演習を同時に行った方が、理解が早く進みむからです。

学習の優先度は

  • 経営戦略論>>>マーケティング論>組織論

です。

組織論は暗記に近いところもあるので、後回しでもOKです。

まずは経営戦略論をしっかりと学習することがポイントです。

中盤

一通りテキストでの学習が終われば、過去問や問題集を使い、アウトプットの繰り返しです。

何回も解いていると言葉の言い回しにも必ず慣れくるので安心してください。

マーケティング論は、テキストには掲載されていないようなトレンドに関わる問題も出題されます。

トレンド問題は知っているかどうかだけなので、情報誌や新聞なども目を通して情報収集しておくべきです。

中盤までに経営戦略論とマーケティング論の基礎はきっちりと身に付けていれば、勉強のペースとしては順調です。

終盤

試験直前期も大きく勉強法を変える必要はありません。

問題集や過去問を使いアウトプットを繰り返しましょう。

また労働関連法規は試験直前に暗記しましょう。

ただし、やりだすときりがないので、テキストに載っている基本的な事項だけで十分です。

労働関連法規は難易度が問題が多いため、5問中2or3問正解できるように基礎的な内容だけおさえておけば十分です。

過去問の使い方

どの科目でも重要ですが、企業経営理論は特に過去問の学習が重要です。

過去問の演習量は10年分は必ず取り組みましょう。

年度別に解いていくだけでなく、論点別に解いていくと、理解が進みます。

この科目はテキストの内容を覚えただけでは合格することができません。

そのために過去問は繰り返し行うことが必要です。

難解な言葉の読み解きを含め、問題対応力をつけていくことが大切です。
そのためには、過去問をテキスト代わりに勉強を進めると、企業経営理論を突破する力がグングンついていきます。

平成30年度第1問の過去問を例に解説

先ほど例に出した平成30年度第1問を解説しながら、どのように読み解いていけばいいのか解説していきます。

まず、企業経営理論における過去問の解き方ですが、以下の手順に従って解答を考えると、間違った選択をするリスクを低減できます。

step
1

知識で明らかな間違いとなる選択肢を排除する。

step
2

残った選択肢の内容を、簡単な言葉に置き換えて意味が通じるか検討する

step
3

より意味が通じる選択肢を選ぶ

それでは選択肢をみていきましょう。

選択肢(ア)

外的な成長誘引は、企業を新たな事業へと参入させる外部環境の条件であるが、主要な既存事業の市場の需要低下という脅威は、新規事業への参入の誘引となりうる。

「誘引」が文章を難しくしています。そこで、文章を簡単にしてみると

  • 外部の市場が成長することは、企業が新規事業に取り組むための条件であるが、既存市場の需要が縮小することも、新規事業に参入する理由となりうる

となります。バツとは言い切れない感じますね。

選択肢(イ)

企業の多角化による効果には、特定の事業の組み合わせで発生する相補効果と、各製品市場分野での需要変動や資源制約に対応し、費用の低下に結びつく相乗効果がある。

相補効果と相乗効果が難解な言葉となっています。

特定の事業の組み合わせで発生する相補効果は言い換えれば、シナジー効果のことです。

なので前半は間違っていません。しかし、

各製品市場分野での需要変動や資源制約に対応し、費用の低下に結びつく相乗効果がある

は多角化の効果ではありませんが、バツである確信はもてないため、全選択肢を見た後に再度考えます。

選択肢(ウ)

ウ 企業の本業や既存事業の市場が成熟・衰退期に入って何らかの新規事業を進める場合、非関連型の多角化は、本業や既存事業の技術が新規事業に適合すると判断した場合に行われる。

非関連多角化の意味そのものを問われているため、知ってさえすればウの選択肢は不正解だとすぐに分かります

本業や既存事業の技術が新規事業に適合すると判断した場合に行われるのは関連多角化です。

よって明確に×なので、ウの選択肢は消去できます。

選択肢(エ)

エ 事業拡大への誘引と障害は、企業の多角化の形態や将来の収益性の基盤にまで影響するが、非関連型の多角化では、既存事業の市場シェアが新規事業の市場シェアに大きく影響する。

選択肢ウと同様に非関連多角化を知っていれば解答可能です。

非関連型の多角化では、既存事業の市場シェアが新規事業の市場シェアに大きく影響するは明らかに間違いで、関連多角化の内容です。

よって選択肢エも消去できます。

選択肢(オ)

オ 内的な成長誘引は、企業を多角化へと向かわせる企業内部の条件であり、既存事業の資源を最大限転用して相乗効果を期待したいという非関連型多角化に対する希求から生じることが多い。

内的な成長誘引が何を言っているのかわかりにくいです。

しかし、既存事業の資源を最大限転用して相乗効果を期待したい非関連型の多角化は関連多角化の内容を述べているため、不正解であることは分かります。

よってオの選択肢も消去できます。

残った選択肢(ア)と(イ)をどちらの方がより正解かを検討する

ア 外的な成長誘引は、企業を新たな事業へと参入させる外部環境の条件であるが、主要な既存事業の市場の需要低下という脅威は、新規事業への参入の誘引となりうる。

イ 企業の多角化による効果には、特定の事業の組み合わせで発生する相補効果と、各製品市場分野での需要変動や資源制約に対応し、費用の低下に結びつく相乗効果がある。

残る選択肢は(ア)(イ)に絞られます。

判断に悩む部分はありますが、(ア)は特に誤りと考えられる部分はなく、(イ)は後半部分の「相乗効果」の部分の記述が多角化の効果だと断定できません。

よって、解答としては(ア)を選択するのが正しいと考えられます。

中小企業診断士の企業経営理論勉強法のコツ

他の科目も同様ですが、この科目の勉強のコツは

  • 勉強の優先順位をつけ、分野を絞って取り組むこと

です。

企業経営理論は7科目のなかで、トップレベル試験範囲の広さです。

全てを完璧に理解しようとしていては、いくら時間があっても足りません。

二次試験にも大きく関わる経営戦略論やマーケティング論に優先的に時間を使い、労働関連法規などは時間が無ければスルーしてもOKです。

高得点を狙うのではなく、合格点の60点は必ず獲得するための勉強法を

受験校のテキスト以外も活用しよう

SWOT分析

VRIO分析

アンゾフのマトリックス

PPM

などの知識を活用して、企業の成長戦略をアドバイスしていくことは中小企業診断士の実務上、必須スキルです。

中小企業診断士取得後のことも考えるとテキストで語句を覚えるだけにするのではなく、使える知識にするために他の書籍も活用して勉強することをお勧めします。

・同友館『コンサルタントのフレームワーク』平賀均著

・ダイヤモンド社『ストーリーで学ぶ戦略思考入門』荒木博行著

まとめ

財務・会計と並び中小企業診断士試験の最重要科目である企業経営理論。

中小企業診断士として活躍したいのであれば、企業経営理論を知らないでは済まされません。

二次試験にも深く関わる科目なので、企業経営理論の勉強時間は十分に確保すべきです。

過去問を中心にしっかり勉強していけば60点獲得は決して難しくありません。

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