1次試験対策

中小企業診断士の経営法務で60点をとるために必要な勉強法

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経営法務は会社法、知的財産関連法など会社経営に関わる法律知識が問われる科目です。

中小企業診断士は法律の専門家ではないため、問われる知識は比較的浅い部分となりますが、法律が苦手、暗記が苦手という方にとっては対応が難しい科目です。

頻出論点をしっかりと抑えた試験対策をすれば合格点を必ず獲得できる科目です。

本記事では、中小企業診断士の経営法務で60点を獲得するために、知っておくべき勉強法やコツについて解説していきます。

中小企業診断士の経営法務の難易度(レベル)

経営法務の難易度は、ここ数年の傾向から

  • かなり難しい

と言えます。

平成30年度は平均点がかなり低くなったため、全員に8点加算されるという前代未聞の大きな得点調整が行われたほどです。

単に知識を問うだけでなく、実際の経営診断のケースにあてはめて解答させる問題や、細かい知識を問う問題が増加した結果、近年は非常に難易度が高くなっています。

経営法務の設置目的

科目設置の目的(出題者の真意)を知っておくことは、どの他科目おいても、基礎理解を促進させるために非常に重要です。

そこで、中小企業診断士の試験案内に記載されている運営管理の科目設置目的をみてみると、

創業者、中小企業経営者に助言を行う際に、企業経営に関係する法律、諸制度、手続等に関する実務的な知 識を身につける必要がある。また、さらに専門的な内容に関しては、経営支援において必要に応じて弁護士等 の有資格者を活用することが想定されることから、有資格者に橋渡しするための最低限の実務知識を有してい ることが求められる。このため、企業の経営に関する法務について、以下の内容を中心に基本的な知識を判定する。

引用:平成31年度中小企業診断士第1次試験案内

と書かれています。

  • 民法
  • 会社法
  • 知的財産関連法
  • その他

の4つで構成されています。

経営法務の問題数と配点

経営法務の問題数は25問。

1問あたりの配点は4点で、原則的には25問の出題です。

また1問あたりの配点が大きいので、ケアレスミスには要注意です。

平成28年度に一度だけ20問・5点の問題数・配点の年があったため、必ず1問4点の全25問ではありません。

経営法務の科目合格率推移

経営法務の科目合格率推移は以下の通りです。

・平成26年度 10.4%

・平成27年度 11.4%

・平成28年度   6.3%

・平成29年度   8.4%

・平成30年度   5.1%

平成30年度は+8点の得点調整が行われました。また、平成29年度も診断士協会の正解誤発表により、1問が全員正解とされる措置が取られ、事実上全員に4点が加算されています。

それにも関わらず、科目合格率が一桁であることから、難易度の高さを物語っています。

複数年での合格を目指している方は、最初の年に経営法務を受験すべきです。理由は科目合格率が低いため、下手をするとこの科目だけでもう1年、一次試験を受験しなくてはならなくなる危険性もあります。 さらに、二次試験に直接的には関わらない科目なので、最初の年で合格してしまいましょう。

中小企業診断士の経営法務の勉強範囲

経営法務は工場のオペレーション管理に関する知識を扱う「生産管理」と、卸売業や小売業の店舗運営、販売業務に関する知識を扱う「店舗販売管理」の2分野から出題されます。

試験範囲が一番広い科目なため、多くの知識をインプットする必要があり、勉強時間の十分な確保できるかが大きなポイントです。

経営法務の頻出論点

中小企業診断士の経営法務は

  • 民法(市民生活や事業などにおける基本的な事項)
  • 会社法(会社の形態や組織等について定めた法律)
  • 知的財産関連法(特許や実用新案、商標など)
  • その他(資本市場、倒産等独占禁止法、国際取引等)

の5つの分野が主な勉強範囲になります。

知的財産関連法の出題割合が増加しています。さらに、民法では相続などの事業承継に関する出題が顕著に増えています。

これは昨今の中小企業を取り巻く現状を反映したものと考えられ、特に事業承継などは今後も出題継続が高い分野です。そのため、中小企業白書などで、中小企業を取り巻く環境を理解しておくことも大切です。

民法

民法の分野は、

  • 物権
  • 債権
  • 相続

の3つです。

民法の頻出論点

民法で必ず抑えておくべき論点は、

  1. 期限の利益の喪失
  2. 債権、契約
  3. 相続(遺留分)

の3つです。

民法の頻出論点は以上の3つです。特に契約における債務不履行に関する知識や遺留分、遺留分減殺請求などの相続に関する知識は特によく問われます。 事業承継が喫緊の課題とされている状況でもあり、相続に関する知識は今後も出題される可能性が高いです。

会社法

会社法の分野は、

  • 株式
  • 会社の機関
  • 会社の計算
  • 事業の開始
  • 法人の事業開始
  • 届出・手続き等
  • 合併の手続き
  • 倒産等の手続き

の8つです。

会社法の頻出論点

会社法で必ず抑えておくべき論点は、

  1. 株式会社に関する知識(役員の任期、人数等)
  2. 組織再編

の2つです。

株式会社に関する知識は役員の任期や必要な人数、株式についての知識を中心に学習します。株式会社の機関および種類は参考書の中に必ず図表でまとめられているので、その図表ごと覚えるべきです。組織再編は頻出論点の中の頻出論点であるため、会社分割と事業譲渡は重点的に学習しましょう

知的財産関連法

知的財産関連法の分野は、

  • 産業財産権
  • 著作権
  • 知的財産権

の3つです。

知的財産関連法の頻出論点

知的財産関連法で抑えておくべき論点は、

  1. 特許法
  2. 意匠
  3. 商標
  4. 著作権関連法
  5. 不正競争防止法

の5つです。

出題数も多く、経営法務の中で最も重要な分野が知的財産管理法です。 特許権、意匠権、商標権についてはどのような内容まで対象になるのか、詳細な理解が必要です。 過去の裁判事例など係争となったケースを探して調べて抑えておくと、理解しやすくなります。

その他

  • 契約に関する基礎知識
  • 契約の類型と内容
  • 資本市場に関する基礎知識
  • 有価証券報告書とディスクロージャー
  • 社債発行の手続
  • 株式公開手続

の6つです。

その他の頻出論点

その他の中で特に抑えておくべきは、

  • 英文契約

です。

英文契約は、問題文も解答もすべて英語での出題となるため、英語がわかる人にとってはサービス問題となります。逆に、英語が苦手な方は割り切って英文契約は捨ててしまいましょう。

中小企業診断士の経営法務の勉強法

経営法務は暗記科目なので、基本的な法律知識を暗記しないことには始まりません。

法律は毎年改正されます。古い参考書や問題集で勉強を行ってしまうと改正前の内容を学習することになるため、最新版の参考書、問題集の利用が絶対条件となります。

序盤

参考書全体を一読し、概要をつかみます。細かい数字の暗記は後回しで問題ないので、

  • 法律ごとに何を規定しているのか

イメージをつかむことが一番大切です。

例えば、特許権と実用新案権は何が違うのか、民法で言えば瑕疵担保責任とはどのようなものなのかなど、馴染みのない法律用語に慣れ、何を言っているのかイメージができるように学習を進めましょう。

中盤

会社法、知的財産関連法を中心に細かい数値を覚える段階となります。

例えば特許権の期限は〇年、監査役の任期は〇年といった内容です。

一度ですべてを暗記するのは不可能です。忘れてしまっても気にせず、参考書を覚えるまで繰り返し読み返して覚えましょう。

暗記カードを作って覚えると効率的です。

カード作成に多くの時間を費やしても1点にもなりません。どうしても覚えられない点、頻出論点のみに絞って暗記カード作成がベストです。

終盤

再度暗記事項の確認です。

参考書を見返しながら、うろ覚えのポイントがないかチェックしていきます。ケース問題にも対応できるよう、過去問を解いて実践力を高めていきます。

また、受験校の模試は法律の改正論点チェックや、ケース問題の練習には非常に役に立ちます。

模試の受験によってゲットした最新情報がそのまま本試験で得点につながることも少なくありません。

過去問を例に解説

経営法務でどのような問題が具体的に出るのか知的財産関連法に関して出題された平成30年度第12問を使ってご紹介していきます。

中小企業診断士の1次試験科目経営法務:平成30年度第12問

中小企業診断士だるあなたと、地元の民芸品を扱う事業協同組合Xの理事である甲氏との間で行われたものである。会話の中の空欄に入る語句として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

甲 氏:「うちの民芸品は全国的にも有名だと思うのですが、知的財産権で保護す ることができないでしょうか。」

あなた:「そうですね。意匠や実用新案は新規性が要求されますから難しいでしょ う。でも、商標には立体商標という制度があります。実際、飛騨地方の 『さるぼぼ』や太宰府天満宮の『うそ』が、『キーホルダー』を指定商品とした立体商標として商標登録を受けているんですよ。」 甲 氏:「へぇ、立体の商標ですか。」

あなた:「そうです。 page11image4059957024の立体商標は、『使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるもの』なら ば、商標登録を受けることができますから、長年使用されている民芸品は 立体商標の登録を比較的受け易いのです。」

甲 氏:「なるほど。長年使っているからこそ登録を得られる商標があるのですね。」 あなた:「地元の弁理士さんを紹介しますので、相談してみてはいかがでしょう。」 甲 氏:「よろしくお願いします。」

〔解答群〕

ア その商品の形状等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標

イ その商品又は役務について慣用されている商標

ウ その商品又は役務の普通名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標

エ 他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標

出典:中小企業診断協会

経営法務のケース問題は上記のように、中小企業診断士(あなた)と経営者の会話形式で出題されることが多いです。

ケース問題と言っても、法律以外の面からも多面的に考えさせるものではなく、知っているかいないかだけの知識問題となっています。

今回の場合は、立体商標についての知識があるかどうか問われているだけです(正解はア)。 

立体商標とは、商品や商品の包装そのものの形状としたり、役務(サービス)を提供するための店舗や設備に設置することにより使用され、商品や役務の提供元を需要者に伝達し、他者が提供するそれらと区別するための標識としての機能を果たす(出所表示機能、自他商品識別機能)商標。

繰り返しになりますが、法律は改正されるため、3年以上前の古い過去問を使い物になりません。そのため、経営法務で合格点を獲得したいのであれば、最新の情報を反映した問題集で学習すべきです。

また、中小企業診断士の試験では過去問を使った勉強法を知っているかどうかで合格できるかどうか大きな要因となります。どのように過去問を使って勉強していけば良いのかについて、詳しく解説しています。

中小企業診断士の経営法務勉強法のコツ

経営法務も勉強範囲が広く、馴染みのない法律用語や細かい数字を覚えなければならず、苦手科目に挙げられることが多いです。

確かに、高得点を狙おうと考えると、馴染みのない法律用語や細かな内容まで覚えないといけませんが、合格点である60点をとることを考えると、経営法務はそこまで難しい科目ではありません。

なぜなら、経営法務の出題割合のうち

  • 会社法
  • 知的財産関連法

で6~7割を占めているため、この2論点を集中的に学習することで得点を固められるからです。

暗記が苦手な場合はテキストで覚えるのではなく、参考書の図表をそのまま暗記してしまうイメージ暗記法が有効です。

参考書のレイアウトや表などをそのまま暗記する勉強法です。

個人差はありますが、文字よりも視覚(イメージ)で覚えた方が記憶定着しやすいため、暗記が苦手な場合には積極的に活用すると記憶が定着しやすくなります。

あまり早い時期(1~3月)から必死に暗記する必要は全くありません。 細かい暗記は直前期からでもOKなので、初めのうちは、法律が何を規定したものなのかイメージを持つことを重視しましょう。

受験校のテキスト以外も活用しよう

受験校のテキストは淡々と法律内容が列記されているだけのものが多いため、初学者だとなかなか理解が進みません。

なので安心してください。あなたの理科力が乏しいのではなく、テキストの書き方に問題があるだけだからです。

このような場合、字面だけで理解しようとするから余計よく分からなくなってしまう負のループに陥ります。

イメージ暗記法の考え方につながりますが、極力マンガや図解などビジュアルで学んだ方が間違いなく理解促進につながります。

そこで、中小企業診断士の経営法務で合格点をとるために必ず押さえるべき頻出論点である

  • 会社法
  • 知的財産関連法

において、初心者向けでなおかつマンガや図解を豊富に利用したおすすめのテキストをそれぞれ1冊ずつご紹介します。

ここだけ押さえる! 会社法のきほん/神田秀樹著

マンガや図解を豊富に利用しながら、会社法の基礎の基礎をわかりやすく説明している名著です。

中小企業診断士受験生向けのものではありませんが、記載されている内容は中小企業診断士の試験範囲に関連するものばかりな部分も大きなポイントです。

会社法を全く知らない方でも、マンガを読み進めていくだけで大枠をつかめるようになっています。

  • 会社法の苦手意識を克服することで、中小企業診断士の一次試験を必ず突破したい

と考えているのであれば、読んでおいて損はない1冊です。

楽しく学べる「知財」入門/穂積健一著

マンガではありませんが、

  • 1・2・3・ダァーッ!を叫んだら商標権侵害なのか!?

など身近な事例をもとに知財の解説をしてくれているので、非常にわかりやすくとっつきやすい内容となっています。

ご紹介した2冊はあくまで法律のイメージや全体像を掴むために使用するものです。この本だけで試験範囲をカバーすることはできませんので、注意して下さい。

まとめ

近年は難問・奇問のオンパレードで科目合格狙いの中小企業診断士の受験生には鬼門となっている経営法務。

非常に細かい論点まで出題されることも多くなってきており、対策が難しいのは間違いありません。

ただ、それでも

  • 会社法
  • 知的財産関連法

の頻出論点をきっちり勉強できれば60点は突破することは可能です。

基本的な問題できっちり得点し、難しい問題でも選択肢を絞り込むことで、正解する確率を上げていく。この基本戦略を適切に遂行すれば必ず合格点にたどり着けるようになるはずです。

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